こんにちは。平田アルカンタラです。
このあいだジャンレンの『シェフ』を観て、今回は公開時話題になったほうのシェフを。
あらすじ
有名シェフの主人公は、批評家に対して新メニューを出すか否かでオーナーともめてクビに。その後周囲の助言を元にフードトラックを出して再起を果たそうとする。
良かった点
主人公周辺に、全く悪い奴はおろか性格に難ありってやつが一人もいない。全員良い奴でなんやかんや主人公に尽力してくれる。そんな状況の中、当初は回りが見えなかった主人公がだんだんと変わり、自分のやりたいことと周囲との関係を捉えなおす。
その過程と共に、主人公たちのフードトラックの人気の盛り上がりがとても伝わりやすく構成されている点が良い。シンプルに盛り上がるつくりで、分かりやすくだんだんテンションが上がる。
それを支えるのが人的描写以上にSNS描写。主人公が転落する原因がSNS炎上なのだが、巻き返していく要因になるのもSNS。その分かりやすい対照構造と、主にツイッター上で熱を帯びていく描写が秀逸。
後半はフードトラックに行列ができているんだけど、その行列からどんどんツイッターの青い鳥がツイートを乗せて飛び立っていく様子はシンプルに面白い。
主人公のSNSリテラシーの無さで炎上する分、後半SNSを巧みに使うのは息子。この息子が登場人物界ナンバワンの有能。さまざまなSNSを駆使する現代人描写と周囲の言うことを聞き続け良い息子を演じる子供描写。その二つをうまいこと演じきった子役の演技が最高だった。正直後半の展開とかの映画的パワーは息子の存在感のおかげ。
あとはうまそうな料理描写。Tastemade Japanの料理動画のように料理シーンがおしゃれで上手そう。これが料理人映画で最も大事で、この主人公料理上手いんだろうねっていう話の根幹の説得力に通じる。この映画は結局シンプルな料理を出すんだけど、それが上手そう。
微妙な点
ビッグネームな俳優をチョイ役で出してクレジットに入れるのは良いんだけど、スカーレットヨハンソンもロバートダウニーjrもダスティンホフマンもチョイ役で出して、全くそれ以降掘らないのは映画に深みが出ないわ。
チョイ役を出すなとかではなくて、チョイ役が多すぎて時間配分がもったいない。これだけ出して正味110分なわけで、そいつら出すなら相棒としてフードトラックについてきてくれた料理人との話が見たかった。キャラとして立ってるのに、なぜあそこまでの友情があるのかが無いなんて。
そこを描けば結末に息子との関係だけでなく、“付いてきてくれた相棒との喜び分かち合い”というパワーも生まれたのに。だからといってその分伸ばすと映画として散漫になっちゃうからチョイ役が要らんね。
まとめ
シンプルで分かりやすい良作であることは間違いない。直感的にアガル音楽が料理シーンなど各所で多用されて、だれでも楽しめる作品。しかしそれ以上の深みがなく、ヒューマンドラマとして今一つな映画出会った印象。
採点 71点
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