こんにちは。平田アルカンタラです。
劇場で観られず悔しがってた作品。年間ベスト級の高評価をいろんなところで聞きます。
『ダブリンの~』相当好き『はじまりのうた』はそこそこ好き、
おはなし
いつも通り「人生どん詰まりから音楽ひとつで希望を見出す」おはなし。
今作は末っ子主人公が、転校とともにカースト最下層に。そんな日々の中とある女に一目ぼれしちゃう。話しかけてみるとモデルをやってるらしい。そこで繋がりを持ちたい主人公は「俺らのバンドのPVに出てくれ」と口から出まかせを。嘘を現実にするべく主人公はバンドを組むところから始めるのであった…
良い点
監督のオンガクマジック
何でこの監督はこんなに「音楽という良し悪し好みが分かれやすいものを、観客が最上の物に聴こえちゃうマジック」が上手いんだろうか。劇中の音楽が、実際には音楽的に良いか悪いか、僕は音楽的素養も全く無いので分からないが観ているともうシングストリートの虜ですよ。
今回は音楽の外堀として、家族や未成年の環境という自分の意思じゃ変えずらい部分の不満を常に添えてくる。全2作は自分の人生におけるここまでの選択での後悔を音楽で昇華していたので、今作は大きく変わってきた。
『ダブリンの~』では人生を変えるための大きな決断に音楽を添えてきた
『はじまりの~』では音楽家としてある程度の地位を持ったものの再起動として音楽を位置づけた。
今作はこれから始まる人生を選び取るという極めてポジティブで応援しやすいものとしての音楽であり、最も応援しやすいしカタルシスを受け取りやすいのかなと思った。
誰しも共感でき、分かりやすい障害としての家庭内環境や学校。そういう万国共通な敵へのカウンターカルチャーの音楽と際立たせたことが全2作をこえる高評価なのかなと。
もちろんそこに兄貴の後悔を肩代わりしたり、主人公以外の人生を拓くという使命も乗ったり、音楽への多様な意味づけもある。
恋愛音楽映画どまんなか
そしてようやく成就した恋愛。前2作は男女が密に絡み音楽を形成しながらも恋愛には発展しない大人の良さがあった。そのもやもやを振り切って、恋愛のための音楽というスタートライン設定も潔い。やっと恋愛音楽映画として最も分かりやすく盛り上がる形に突き進んだのも魅力なんだろうなぁ。
演出で言えば、シングストリートのメンバーがどんどんカッコ良くなるのはすごい。何が変わったのか分からんが、明らかにカッコいい。ただ衣装が変わったとかメイクが~とかのレベルじゃなく立ち姿がカッコいい。そう思えるってことはすごいこと。それが推進力にすらなってる。
主人公なんて最初あんなにナヨナヨってたのに、後半イケメンすぎて。後半は周囲との身長差をあまり見せなくなったのも大きいけど、オーラがね。全然違うよね。惚れました。
微妙点
個人的に映画のパワーのピークが「空想のPVが流れたんだけど現実は違くて彼女も来ない」とこだった気がした。あそこは個人的に涙出た。バンドとしての完成度のピークと話の悲しさのピークが重なって。
一方クライマックスの校内発表会が微妙な気がしちゃった。話が止まったというか、映画内でライブシーンを何曲もやることの限界なのか。ちょっとそこが残念かなぁ。じゃあどうするのが良いかなんて分からんけど。
あとは他のメンバーは良いけど、プロデューサーはもっと出すべき人間だと思った。作曲と同じぐらい注目するべきキャラだと思います。なにかエピソードつけてほしかった。
もう一個いいちゃいいけど、あの用心棒いるかね。
まとめ
良い!!これは素晴らしい。恋愛音楽映画。音楽映画のマスターピースではある。これを年間ベストとか選んでるのも分かる。たぶん僕も去年劇場で観てたらこれかも。
ただ僕は『ONCE ダブリンの街角で』のほうが好きだなぁ。シンプルで。
採点 82点
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