2017/02/09 小山シネマロブレにて鑑賞
上映開始時刻の1時間前に初めて知って、予告編も何も入れずに観ました。だってあの大傑作『きっと、うまくいく』の監督・主演タッグなんだもん。
あらすじ
別惑星から地球観察に来た異星人の主人公。地球に到着した途端に飛行船を呼ぶリモコンを泥棒され、母星に帰れない状態に。
地球のことを全く知らないので道行く人に助けてほしいと頼むと、「そういう願いは神様が助けてくれる」と教えられる。
こうして概念としての神様を本当にいる人物と思い込んだ主人公は、必死で神様に会おうと探し回る…
感想
神様なんて本当に居るのか
今作は“神様”という実在しないことは結構みんな知ってるけど、公然とあえて「実際には居ません!!」とは言わないものに対して、何も知らない宇宙人という立場を隠れ蓑に急所を刺しつづける痛快な作品。
無宗教の日本人だから神様に対しそう思ってるだけで、様々な人種や宗教が入り混じるインドではどう思われたのだろう。マジで信じてるひとはキレるだろうなぁ。
宇宙人の初めてのインドが面白い
本当に何も知らないため何をするにも地球人とぶつかりながら、だんだんと地球での生活スタイルを掴んでいく様子がまず面白い。
服はカーセックスの車から盗む。盲目の僧侶が道でお金を要求しているところを、お金をもらえるところと勘違いして盗む。神様へのお布施をしても何もしてくれないから返金しろと要求したり。
日常生活レベルはドタバタコメディとして誰でも楽しめるつくり。
そして一歩踏み込むのが、その何もわからない宇宙人VS宗教。神様に助けてもらうため片っ端から宗教に参加し、それぞれ熱心に活動する。でも実際に神様なんて現れないしリモコンは取り戻せない。そのたびに「嘘じゃん!金返せ!」とか言って大騒ぎ。そして信者に追い回される。
ここはいろんな宗教を知っていれば、あれもこれもやってるよ(笑 と分かってさらに面白いかもしれない。
もう一人の主人公
これらのメインストーリーに絡んでくるのがヒロインのジャグーのはなし。
ジャグーは過去にベルギーにてパキスタン人留学生と恋におち結婚間近に。しかしインドの家族に反対され教祖にも失敗すると予言された結果、その予言通りに破局してしまう。
そんな過去を払拭し乗り越えるヒロインと、主人公の宗教に対する純粋な疑問が重なり合ってものすごい推進力を生むのがこの映画。
2時間半の結末に待つ壮大なカタルシスは圧巻。感動的です。インド映画特有のうるさい間延びする音楽があるからこそ、ラストの演出が効いてくる。
長くても飽きない
『きっと、うまくいく』ではあんなに長いのに、登場するモノ・ヒトがすべて無駄じゃなく映画に出す意味がある。それを全部拾っていって結末に向かっていく様子は「娯楽の最高到達地点」としか言い表せない。
今作も長丁場なのに無駄が無い。これ要らないだろっては一切思わない出来。全部必要だと思わせるほど後半1時間の完成度が特に素晴らしい。
この監督主演タッグはすごいなと思わせられます。
その他微妙点
やはりテーマ的に『きっと、うまくいく』より共感が難しいところはある。
多少インドの宗教について知っておいた方が面白いんだろうし、知らないと完全には分からないギャグも多かった。
『きっと~』では、インドの学校制度について詳しく知らなくても、学校あるある・怖い先生あるある的なものが万国共通で分かった。それとはテーマで差があったね。でもそれは映画として劣っているというわけじゃなくて、挑戦的なテーマの代償であるというだけ。
あと、この監督たちなら上手に使うんだろうなと期待して観ている分、前半の結婚式のところが主人公が受け身でドッキリくらってるような違和感を感じる強引さがあった。
まとめ
期待通りに面白かったです。これってすごいことです。だってあの傑作を観ての期待値に応えてるわけだから。
2時間半とまぁ耐えられる長さだし、これは鑑賞してよかったなぁと映画館を出ながら思いました。
採点 82点
コメント