2017/12/24 新文芸座鑑賞
クリスマスイブに一人映画を楽しんできました。
ありがとうございます。
あらすじ
金融マンの主人公デイビス。美人で性格の良い妻が居て、義父が社長の金融会社にコネ就職して今上流階級の暮らしをしています。
そんなある日突然の交通事故で妻を亡くします。なんの感情も出せない主人公。それを見た周囲の人々は「妻を亡くしてショックなんだな」と解釈しますが、主人公の中は今までの何の変わらない心でした。
妻が死んで主人公が何をしたかというと、病院のお菓子の自販機メーカーに、クレームを手紙を出したぐらい。
そんな自分に自分で驚く主人公は、妻を愛してなかったのかとさえ思います。そんな思いの丈すらも自販機メーカーへの手紙に書くようになります。
そのうち自販機メーカーのお客様対応窓口から電話がかかって来ます。しかも事務的な内容ではなく、ひとりの人間として手紙に感動したと。その後何度かやり取りをして、とある形で会うことになりますが…
感想
捕らえきれない自分の心
なんとなく過ぎてしまう日常の中じゃ、自分の心を気づいてるようでそれは表層に浮き出た欲求とか不満そういう形でしか気づいてない。
妻への無関心ってのは一種の表層に過ぎず、言うなればずっと自らの心の機微への無関心だったわけです。
自分に正直に生きよう とかよく言うけど、自分がこうしたいってのに気づいている部分しか普段は考える対象になってない。でも実はもっと奥底で勝手に心は動いているわけで、主人公はそのことに「妻の死」をキッカケに気付かされそれまでの生活をぶっ壊すことに。
そして心を捉えられるようになった結果、妻への想いがやっぱりあったなと。
一番の親友になった少年の「俺はゲイなのか」って問いもそう。少年の豊かな感受性で心の奥の奥にある深層に気づいたら、それが世間にとってあまりよろしくないものだったわけで。それをどうしたら良いのか分からないけど、深層に気づき、本当の意味で正直に生きてる主人公に相談する。僕は良いシーンだらけの今作の中でもめっちゃ好きなとこです。
ジェイクギレンホールの当たり役
今作はもーすと当たり役だと思うよ。ジャケットになってる人混みの中の主人公の画があるけど、これが劇中何回か出てくる。
最初はジャケットみたいに悲しい顔なんだけど、その次出てくるともっと明るくて、その次は音楽聴きながら人混みで踊り狂って周囲と比べて陽側にぶっ飛んでる。印象的なシーン。ジェイクギレンホールの人間性が見えてこない雰囲気によって、同じ人間がこんなに変わっても納得して受け入れられる。
どんだけ主人公が破壊的行為で回復しようが、ジェイクギレンホールの顔のせいで完全に回復したわけじゃなく、どこか物悲しさを漂わせ深みを持してくる。
そしてエンドシーンの表情がなんとも言えない満足そうな顔で、ようやく本当に幸せなんじゃないかと観客は安心して劇場を出れられる。
この映画はジェイクギレンホールをめちゃめちゃ満喫できる良作です。
まとめ
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』との二本立てで観たんですけど、二本立ては感想をすぐ書けないから今後はやめます。めっちゃ好みの映画だったのに消化不良な感想になっちゃいました。不器用な人間なもので…ごめんなさい。また観ます。好きなので。
息子のことも、めっちゃかわいくてガードが固いナオミワッツのことも書きたかったなぁ。映画終わりテンションで
採点 82点
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