【ネタバレ感想】入国審査 ダレないワンシチュエーション映画って、本当に最高ですよね

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2025年8月6日 アップリンク吉祥寺

あらすじ

スペインからニューヨークへ渡ったエレナとディエゴ。エレナのグリーンカード当選で希望を抱いていた2人ですが、入国審査でまさかの別室送りに。密室で開始された予測不能な尋問が、やがて彼らの“真実”を炙り出す。わずか77分、低予算ながら深層心理と社会的緊張が同居するリアルサスペンス。監督の実体験が反映された緊迫の一夜が描かれる。

感想

日常に潜む「これいつ終わるねん」って恐怖

今作の舞台は、アメリカへの入国審査窓口。スペインからアメリカへ移住するためやってきた38歳と32歳のカップルが足止めされる。いろいろな説明が無いなか、雑な尋問が繰り返されていく。 入国審査ってこんな感じなのかな。もし自分がされるとして、英語がわからない時点で逮捕です。もし言語の壁を突破できても、水も食糧も無く、何時まで続くか分からない閉鎖空間に耐えられないよ。

空港の到着ロビーから、よりやばいやつが集まっている二次試験会場に連行される。読書しながら待っている先輩おじさんに「いつから待ってますか?」って聞くと「本3章分、3時間だ」とのこと。絶望感えぐっ。今日の予定決めてたのに〜。

病院の待合室とかですら、番号表示されていてもあとどれだけ待つのか分からず、待合室の人数から察するにおそらく相当待つなと軽い絶望感を感じる。のに、移住しようと思って来た異国の謎の部屋でそんなことになったらもう帰りたくなっちゃうよ。

それぞれの生い立ちから、なぜアメリカに移住したいのかまで事細かに聞かれる。その後質問はよりパーソナルな部分へ。セックスの頻度や、職業ダンサーならここで踊ってみろといった無茶振りも。「携帯のダンス動画なら見せられます」と提案しても却下。オードリー春日はそれで切り抜けたっていうのに。アメリカは厳しいね。

男女同時で尋問を行っていたときは、男女が共闘して審査に噛みついていたんだけど、それぞれ別々で行うターンになると一変。だんだんと人生相談チックになっていく。 男に対しては、結局ビザ目的で女と関わってんだろ?と。女に対しては、あの男はロクな男じゃないと。

最後それぞれの尋問が終わってロビーで再会したあとの2人の会話が悲しい。最後の最後に男側が嘘ついちゃう。追い込まれて尋問官には白状したのに。一生一緒にいてくれやなパートナーにはまたしても嘘ついちゃう。弱くて悲しい男の弱さがね。

そうして2人をギクシャクさせるだけさせて、はい入国OKでーすスタンプを頂いて”めでたしめでたし”って、多分これスペイン帰るぞ。そして分かれてGo to ベネズエラだぞ。望まぬ祖国ベネズエラ。ほんまかわいそう。

スーパー低予算映画らしいんだけど、ツボが抑えてあって、しっかりと面白い。この映画、撮影期間17日間、予算65万ドルで出来ているということ。こんなに面白い映画もこれで作れるなんて、本当に映画作りって難しいんだろうなぁ。

予算がないからって静のドキドキだけでなく、小さいながらも動のドキドキも入れてくれます。尋問官がいなくなった隙に資料を盗み見て、禁止されてる電話をしようとしたり。ストーリー上振り返ると特に意味があったわけじゃないんだけど、波の高さが出ないワンシチュエーションものの中で、こういう画的に掻き乱す展開は少なくても良いので必要。これこそが映画に必要な観客へのサービス精神だと思う。

まとめ

ワンシチュエーションものの中でもよく出来た良作枠に入ると思います。別に映画館で観なくても良いけど、短くて切れ味あって、家でパートナーと肩を寄せ合いながら観るのに最適なんじゃないでしょうか?

採点 78点

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