【感想】ライ麦畑の反逆児 芸術家が頭おかしい理由

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2019/02/02 新宿シネマカリテ

アップルストアでiPhoneのバッテリー交換を申し込んだら2時間半ほど新宿にスマホなしで居ることに。

スマホなし事前情報なしだと映画のチケット取るのこんなに難しいのね。何やってるかでなく、終わる時間が間に合うかのみで3件回って上映開始1分前にチケットを買って飛び込んだこの作品。

あらすじ

主人公サリンジャーは裕福な家庭に育ちながら抑圧を感じ、家業を継がず物書きになりたいと考える普通の少年。紆余曲折しながら大学文学部に入学し、そこで師匠に出会い物書きへの道を進んでいく。

感想

若者の代弁者の一代記

『ライ麦畑でつかまえて』で知られるサリンジャーの一代記。僕が昔長く付き合った人に「ライ麦は主人公ホールデンがメエメエそのもの。だから読んで」と渡された思い出。ちなみにそのまま別れ読んだことない。でもそのぐらい『ライ麦〜』が若者の精神を投影しているらしい。

劇中も影響を受けた冴えない男が「これは私の作品だ」と頭おかしいファンになってしまっている。陰キャ御用達作品なのかな?

そんな感情移入しやすい名著を生んだ主人公の一代記。とても等身大で、これまた感情入っちゃいました。

等身大の産みの苦しみ

大学の師匠は主人公の作家業への覚悟を試してくる。「書くことに見返りがなくても書き続けるか?そうじゃなきゃ辞めろ。

これは劇中ずっと正しくて、作家業を続ける主人公はこの問題で悩み続け、最終的に自分なりの答えを見つけていく。

僕はよく人にする質問があって「アイアムレジェンドみたいに世界で一人になっても、今の趣味続ける?」って聞く。僕は続けられるものがなくて結局見返りを求めてしまっている。ゲームは続けるかも。

見返りを求めると、続けていて見返りがない時続けられない。見返りないのになんでやってるんだろうって。

主人公は成功を求めている。親や世間への自分の存在意義の証明、戦争を生き延びた意味づけ。書くことこそが主人公のヒーリングだった。

でも成功して弊害が出てくるとやめたくなる。もう最初持っていた書くことで得たい承認を手に入れてしまった。そしてその維持のプレッシャー。

しかし物書きとしてしか生きられない。別の人生を歩めないから、人生の意味の自家発電として書くことは続ける。この境地に達した主人公は文字通りの物書き。物書き人生の最高到達点。

これが物書きの目指す先なら、そりゃ変人しかいないよって話よね。自分一人で人生の意義や燃料を作り出せるなら、社会や他人なんて必要ない。もう無敵、自由。

主人公も最終的には一般的な社会不適合者な生活を送るんだけど、これはサリンジャーにとって最高な人生だろう。悩みながらたどり着いた境地。

そんなサリンジャー人生のメンタルと選択を体感できる、感情移入しやすい作品。

弱点は魅力のないキャラと単調なリズム

正直主人公は魅力無い。人間的魅力が。苦悩は分かる。こうなりたい理想像と現実とやるしかねぇの地獄でもがいている。ここは納得や。

だけどその当事者の人間的な部分で良いなぁってとこ無い。サリンジャーが嫌な奴。気難しくてキレてねちっこい。でもこれが芸術家だから。めんどっ。

あとシーンの切り替わりが単調で突然。急に変わってえっ?ってなるパターンしかない。ここで切るん?って次の場面を理解するまでにすこし時間がかかる。

一概に悪いとは言わないけど、ずっとだと飽きるし長さを感じるわ。

まとめ

想定外に良かった。突然時間だけで決めて観たからってのもあるけど、普通に嫌いじゃない。苦悩と選択以外の主人公が見られたらもっと良かったかなぁ。そこが懐深くなく残念。

その前に7つの会議でサラリーマンという生き方見て、そのままこれってやばない?僕はどうやって生きようか。

採点 62点

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