こんにちは。平田アルカンタラです。
あらすじ
高齢化と漁業の衰退で活気のない島が舞台。島民は生活保護を受けながらただ生きているだけの日々だった。そこに舞い込んだのは工場誘致の話。もし成功すれば住民の働き口が確保でき、生活が変わる。しかしその条件は島に医者がいること。
主人公たちは医者を島に連れてこさせ、島医になってもらうことができるのか…
感想
生きる目的を獲得する過程
島の人々はみんないい人で悪意が無く、純粋で愛くるしい。でもずっと生きる意味を見いだせない。金銭的にはカツカツでもやっていける。でもそれだけの日々じゃ抜け殻だ。
働いて生活をするための工場誘致が最終目標。そのために医者が島を好きになって滞在するよう、イメージキャンペーンを行って島ぐるみで騙す。そんな打算的な酷い理由でウソをつき続けるんだけど、そのウソをつく行動自体が島民の日々のやりがいになっていき、表情や立ち振る舞いがイキイキしだす様子が素晴らしい。
目的もやってることも言っちゃえば酷いことなのに憎めない。騙されて盗聴されてる医者がかわいそうとは思えない。おそらく島に来たのも、交通違反もみ消しとの取引で来てる。状況的には悪質だけど、島民のキャラクターが愛くるしくて、ウソによって人間性を取り戻してるのを観るとほっこりさが勝っちゃう。
一生懸命で雑なウソは温かい
舞台の島は本当に遅れてる。発展途上島。住民も良い意味でゆったりと、悪い意味で何の生産性もない無意味な生活を送っていた。そんな奴らが一念発起してウソを塗り固めようとしても大変。上手にコトが運ばない雑な奴らの一生懸命なウソが、下手で面白くて温かい。例えるならDIYなウソ。雑で下手でもそれがいいんじゃん。味じゃん。みたいな良さを感じられる。
盗聴とかいかなる理由があっても人道的にダメだろ!ってことも、まぁこいつらが精いっぱい工夫した結果だからな、って大目に見ちゃう。盗聴時のボリューム的なつまみのやり取りとか何回やんだよクドイよ、とも思ったけど大目に見ちゃう。
まぁその盗聴も良いシーンを数多く生み出してた。医者と本土の彼女との卑猥な電話を聴いて、盗聴手のおばさんが興奮しちゃうとか。盗聴の情報が伝言ゲームで食い違って、医者が足が好きだって伝達されて、翌日の島の女性は全員足出して生活してるとか。
全編に渡って島民の純粋さが支配する映画だった。主人公の島長だけが考えていて、あとは抜けてる人しか居ない。そいつらが団結して一生懸命やるのを微笑ましく観る。そんな映画ですね。
まとめ
害のないあたたかな映画でした。
採点 62点
コメント