【ネタバレ感想】KNEECAP/ニーキャップ 

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2025年8月25日 あつぎのえいがかんkiki

あらすじ

ベルファストの労働者階級で育った若者ニーシャとリーアム。町のドラッグディーラーとして暮らす中、警察に捕まったニーシャは英語を頑なに拒否し、アイルランド語だけを話す。そんな彼を見かけた音楽教師のJJが、その手帳に書かれた歌詞に目を留め、三人はアイルランド語でラップするグループ「KNEECAP」を結成。言葉と音楽を武器に、母国語とアイデンティティの復権を目指す力強い青春物語。

感想

自伝映画なのに疾走感に飲み込まれる

北アイルランドって不思議な国で、公用語は英語だけど、現地語としてアイルランド語がある。でもアイルランド語を話す人は少なくなっていて、アイルランド語を法律上有効な言語にするか、国内法整備に揉めているような状況。

主人公たち2人は街の不良。クローズみたいな不良じゃないけど、ヤクの売人をしています。父親も少し思想が強い人で、そんな父親からアイルランド語の小さい頃から教えられていて、2人とも話すことが出来ます。

悪さをして逮捕されても英語分からんアイルランド語しか話せませんの1点張りで供述を拒否。警察はアイルランド語を話せる人を探して、地元の音楽教室JJを連れてきます。ここで2人の言語センスに触れ、アイルランド語を使ったラップを勧めます。

試しに始めてみると、確かに楽曲は良い。ただ、ドラックまみれが酷すぎる。ライブ前には3人でドラックをキメて、ライブ中は観客にドラッグをばら撒く。売人の強みを活かしてんじゃないよ。新築の餅撒きかよ。

観客としては、あらすじの事前情報が入っちゃってる。「ニーキャップ」って3人組は実際に成功しているラップユニットで、この映画の先には輝かしい未来が待ってると。

このフィクションとしか思えない、フィクションでも捕まって色んな団体に詰められて人目につく音楽なんて成功しなさそうな展開。でも、その後成功するってどういう道筋??とメタ的に興味がピン留めされちゃう。

すっごい展開の連続ですよ。こんなことあっていいのかと。そんな荒ぶる疾走感溢れる3人に飲み込まれて、必死で着いていくしかない映画です。その先に喜びが待ってました。

音楽映画として大勝利やねん

音楽映画って、結局その音楽に乗れるかどうかに観客の盛り上がりは左右されます。音楽に乗れるように作られてるか、それが音楽映画の唯一の採点基準だと思います。

今作は、万人が乗れる!映画が進むごとにラップにパワーがしっかりと乗ってくる。

ただただ、困難に立ち向かって頑張ってる主人公に共感!ってわけじゃない。アイルランド語を、自分たちが一番世界に影響を与えられる弾丸として飛ばす様に、心が打ち震えます。

国全体が分断している中で、アイルランド語の法整備を大義として推し進める層も多くいる。そんな多くの人の気持ちを背負って、故郷の言語を自分にしか出来ない形、自分にはこれしか出来ないって形で爆発させる。う〜んなんでかっこいいんだろう。

そりゃあね、この設定や社会背景、音楽ライブが本物なんだから、実際のニーキャップファンは凄いと思いますよ。ただの音楽を超えた市民として大事なものを彼らに託しているんだから。

えっ?これ本当に本人?

すっごい演技力じゃない?まじで3人ともニーキャップ本人?

邦画でも本人役ってあるけど、もっと嘘っぽい。演技くさくて、やっぱ俳優って凄いなぁ。何回撮り直したのかなぁみたいなノイズが鑑賞中に乗っちゃう。

それがこの映画はどうよ?すっごく俳優。その上でアーティストだからライブシーンはもちろん、歌詞を日常で口ずさんでいてもカッコいい。音楽家の情熱大陸で、新曲浮かんだ時みたいなカッコよさ。

メイン二人より役所が難しいDJプロヴィも本人。途中まで周囲の人に隠して、一度は脱退宣言をしたり。ここだけでもプロ俳優かと思いきや、本物のDJプロヴィ。すげぇよそりゃあパワーあるよこの映画。

まとめ

これは不思議な映画です。なので観た方がいいですよ。この映画でしか味わえない何かがあります。

採点 79点

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