【ネタバレ感想】ヘッドオブステイト ノリトイキオイだけ

アクション・銃撃戦・クライム

あらすじ

アメリカ大統領ウィル・デリンジャー(ジョン・シナ)と英国首相サム・クラーク(イドリス・エルバ)は、互いに反発し合うライバル同士。だが両国の“特別な関係”を揺るがす陰謀に巻き込まれ、共同声明を行う予定だった機密会議で彼らの搭乗する空軍機が撃墜されてしまう。しかもその背後には、NATOを崩壊させようと画策する巨大な敵がいた。追手に追われる二人は、敏腕MI6諜報員ノエル(プリヤンカ・チョプラ)らの助けを借りながら、生き残りと世界の安定をかけた過酷な逃亡劇へと身を投じる。

感想

ノリとイキオイだけ欲しいあなたに

「深いこと考えずに観たい!」という人しか見てはいけません。

主人公はアメリカ大統領ウィル・デリンジャー(ジョン・シナ)と英国首相サム・クラーク(イドリス・エルバ)。この二人が最初は反発しまくり、立ち位置も性格も正反対という設定からスタートし、そこから「もうめちゃくちゃな事態」に巻き込まれていく。ずっとめちゃくちゃ。飛行機が撃墜されるわ、国際陰謀が暴かれるわ、銃撃戦も追いつ追われつ、逃走劇も盛りだくさん。息をつく暇もなく次々にアクションとあまり面白くないジョークが転がり込んできます。おなかいっぱいです。

これはまさにノリと勢いを押し出した映画で、重い伏線や複雑なプロットをじっくり味わいたい人にはくっそつまんないですが、その代わりに爽快感、派手さ、そして単純な笑いだけを味わい人向け。観終わった後はすぐに消化して体内からすべて排出されるタイプの作品です。

設定から思いつきそうな展開をどしどし入れる

この映画、設定を「エアフォースワンが撃墜される」くらいに大胆にしておいて、そこから「思いつきそうな展開」をどんどん重ねてきます。例えば、両国のトップ同士が敵に狙われた途端、いきなり逃亡⇢追っ手⇢裏切り⇢誤解⇢ロマンス未遂⇢復活劇…と、アクションものの王道パターンが「もうこれでもか!」というくらい出てくる。エリートスパイ役のノエル(プリヤンカ・チョプラ・ジョナス)が登場するのも、「急事態の救世主」ポジションで、しかも主人公の1人(サム)とは過去の関係が…という王道設定も含まれている。

また、敵の陰謀の背景もわりと想像しやすいタイプ。ロシアの武器商人がNATOを不安定にして、国家間の信頼を壊し……という筋は、「国際政治スリラーあるある」。ただ、この「あるある」をきちんと映像とテンポとアクションで見せてくれるので、予測できる展開でもギリギリ観てられます。ギリギリです。

この思いつきそうな展開をどんどん入れることのメリットは、「安心感があること」。騙されたり意表を突かれたりする映画もいいけれど、時には“予想通りだけどその予想通りが楽しい”という映画が欲しいタイミングもあります。日々大変な毎日のなかで時間つぶしに、The娯楽映画を味わいたい。今作はまさにそれ。予想を裏切るといった背伸びを全くせず、「こういう時どう展開するか」をきちんと期待通りにやってくれる安心感があります。

こてこてバディもの要素も入れてみました

上述の通り、この映画はまさに「バディもの」の王道を地で行く作品。性格・バックグラウンド・価値観が異なる二人(デリンジャーとクラーク)が、必然的に協力せざるを得なくなり、互いにライバル意識を持ちつつも少しずつ信頼を築いていく過程が描かれています。

ジョン・シナ演じるデリンジャーは、アクション映画スター出身ということで、観客に「ステレオタイプのヒーロー像」を期待させるキャラクター。ただし、その期待のまんまではなく、「この人、意外と強くない」「状況に応じて助けを求める」「責任感に苦しむ」という面も見せていて、ただのアピール大男では終わらせない。対してイドリス・エルバのクラークは、軍隊経験ありながらも冷静沈着で、外交意識や国の現実をちゃんと考えるタイプ。この「劇的に正反対の者同士が逃げて殴って笑って共闘する」構造、Theバディ映画として、まぁまぁね。

二人のやり取りの中がずっと続くので、私はおなかいっぱい。たとえば、シナが「ヒーロー映画の感覚」で突っ走ろうとすると、エルバが「そんな甘くない」とたしなめる、といった寸劇的なシーン。あるいは、追っ手に囲まれて「それぞれのやり方で対処しよう」と意見が分かれ、結局二人で力を合わせて突破する、といった場面。

「バディもの」の主要素である、衝突と和解のテンポ・互いを認め合う瞬間・相手を信じる瞬間みたいなものはしっかりとあります。

まとめ

ノリと勢いだけなので、予想は超えてきません。ただ、観客があらすじで想定した方向性は絶対に裏切らないでしょう。予告をみて想像したうえで、期待値を可能な限り下げると、気持ちい娯楽映画になるかもしれません。

採点 50点

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