【ネタバレ感想】キッズ・リターン 人生の早めに見たかった

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あらすじ

高校をサボって遊び呆けていたマサルとシンジは、ある日「助っ人ボクサー」に負けたマサルをきっかけにボクシングジムに入門する。しかし、シンジにはボクシングの才能があり、順調に頭角を現す一方で、マサルは自信と方向性を見失い、不良仲間やヤクザの世界へと引き込まれていく。友情と挫折、夢と現実の狭間で揺れる二人の青春群像劇。北野武監督が重層的に描く、成功と転落の物語。

感想

もっと早く見たかった

評判通りのすっごい映画でした。この映画は人生でも早め早めに見たほうがいいです。出来れば20歳より前ぐらいに。高校生とか。

出てくる障壁が現実世界でもあるあるすぎて。あの頃の未確定で広大に広がる未来から、あるあるな障壁に若者が消耗して無茶してつぶされていく様子を、過不足なく完璧に描きすぎて辛いです。

よく言われる「素直すぎて心配だ」という危惧ってどういうことか教えてくれます。自分が若いころとかに言われても、文言の国語的な意味は分かるけど、本質的には分かっていなかったような気がする。その後、社会に出て自分で判断して責任を負うことを経験すると、”こういうことかな”って何か回答めいたものを持てると思う。この映画は、その解答をびしっと示してくれる。

真面目なんですよ。若者が真剣に何かに取り組むって、真剣なんだから真面目。そんなときって、関わる大人を間違えちゃうよね。その道の誰が正しいかなんて、審美眼がないもん。

大人だって新しいことに挑戦したり、新たなコミュニティに入ったら、誰が一番正しくて力を持っているかわからないから初動を間違いがちだもの。その結果の残酷さを、本能のど真ん中に打ち付けてくる映画です。

悪い大人の気持ちもわかる

本作のモロ師岡の気持ちもわかるよね。自分だって輝かしい未来があったはずで、夢中で道を進んでいた若者だった。ただあのときの想像とはかけ離れた現実しか今はない

別に未来ある若者を壊してやろうと明確な目的意識があるわけじゃない。なんだけど悪い意味の介入をしてしまう。同じボクシング道を10年早く進んだ先輩として何かを示したいし、自分がたどり着いた方法を教えたい。それがどんな未来に繋がるかは置いといて、今の自分を肯定するために自分がやってきた方法を教えちゃう。

判断基準がないから言われた若者も「あぁそんな感じなんだ。そんな感じでいいのか」って流れて行っちゃう。

でも一般人レベルってそういうことだよね。普通の部活動でも会社でもこういうことばっかり。そんな堕落の、悪手ループの集合体が組織レベルになっていくわけで。そんな平均レベルから抜け出せる自立心のあるやつだけが飛びぬけた存在になるわけで。

本当にわかるなぁって所を描いていて、いろんな人の心に刻まれている理由が分かる。うーん名作だよねと言わざるを得ません。

一途に恋して社会に殺されたあの子がね

主人公2人よりも、足繫く通って喫茶店の看板娘を射止めたあの子が刺さりました。

恋は真面目さで射止めたのに、社会に出て人生を成立させるのってこんなに厳しいのかねって悲しくなります。いろんな大人や社会に食い物にされすぎて。

社会ってこんなもんだから、自分も一定の距離を取らないと。精神的なパーソナルスペースに他者を介入させずに、決断を自分だけで行わないとダメなんだよね。って学べる映画です。だから高校3年ぐらいの自分に見せたかったです。

まとめ

これは道徳か総合の時間に流したほうが良いですよ。というか親になった私は子供に見せる義務がありそうです。中2で1回見せて、高2でもう一度見せたいです。

採点 85点

コメント

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